早朝ジョギングでは、漁港の壮大な景色を楽しみ、地元の方々にお話を伺ったりと、心身ともにリフレッシュします。
観光パンフレットを読んでみると面白い。1935年に石見神楽の台本とも言える石見神楽合本が編纂され、後世に残すための準備が整えられたという。
しかし、もっと驚いたのは、この時期に地元小学校では未来を担う子供たちのために、スタインウェイのピアノを購入していたという。1933年のこと。
家一軒が500円で買えた時代に、2405円という高額なピアノを購入できたのは、初代市長の山崎義一氏をはじめとする先人たちの、文化の力で未来を切り拓こうという強い意志があった。
「原井の宝」と称されるこのピアノは、1920年代の黄金期のスタインウェイのオリジナルの共鳴版から響く、太くのびやかな音色と、甘い音色に、聴衆のみならず奏者をも魅了します。銘器との対話は楽しい。
今回、私はこのピアノでコンサートをさせていただく機会に恵まれました。演奏を通して、地域の歴史と文化が溶け合うような、不思議な感動を覚えます。
劇場の子ども達と行なった朗読コーナー『谷川俊太郎「生きる」』では、子ども達が語る平和の詩と、ピアノの音色が美しく調和し、深く心に残る場面となりました。
1930年代という分岐点に、文化を通して未来を語った大人達の想いに触れた気がいたします。同時に文化を継承することの大切さを実感します。
この機会を与えてくださった浜田おやこ劇場の皆様、そして会場となった原井小学校の先生方、このような素晴らしい機会をいただき、誠にありがとうございました。