12月21日の東京オペラシティ

2月21日 初台の #東京オペラシティ リサイタルホールで #近藤浩平 さんの小個展があり、そこで演奏を担当します。演奏曲目は「海辺の祈り」「海辺の雪」「三段峡と八幡高原 」です。

彼の楽曲と出会ったのは東日本大震災のすぐ後のことで、左手演奏版の「#海辺の祈り 〜震災と原子炉の犠牲者への追悼〜」の演奏者を探していると友人から頼まれたことがきっかけでした。震災直後という特殊な状況でしたが、その楽曲にはまさに祈りに満ちた強烈なオーラがあり、その世界観を表現することで救われた思いがしました。この楽曲はシンプルでありながらも、その余白に響きを多く含む作りになっており、左手のピアノ演奏との相性がとても良いです。

その後に「#海辺の雪 〜震災と津波の犠牲者への追悼〜」を私から委嘱し、今度は初演まで時間をかけてじっくりと向き合い仕上げていきました。その独特な表現は海辺の祈りと似ていましたが、より一層深みが増しています。初演を行った名古屋宗次ホールでは、弾いているうちに聴衆の気配が徐々に消えていき、最後は私一人が舞台に取り残されていくような不思議な感覚・錯覚がありました。そのような経験は、なかなか無いものです。

「#三段峡と八幡高原 〜安芸の山々~西中国山地〜」 は #左手のピアノ国際コンクール の #作曲部門 を開いた時に委嘱した楽曲です。こちらは近藤浩平さんの世界観の集大成といった楽曲になっています。私の教え子に、この楽曲を演奏して聴かせたところ「ご利益がありそうだ」と目を輝かせ言われたのを思い出します。ピアノ演奏をきかせてご利益を感じさせるなど、他の曲には無い世界観でしょう。近藤さんの左手のピアノ曲には独特な神秘性を持つ曲が多くあります。
オペラシティは素晴らしい環境にあるホールです。近藤浩平さんの小個展の前には、現音作曲新人賞本選会があります。現代を呼吸する神秘的な音楽世界を感じていただければ幸いです。

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第40回現音作曲新人賞本選会
2023年12月21日(木)18:30開場 19:00開演
会場:東京オペラシティリサイタルホール
▼第1部:第40回現音作曲新人賞本選会
1.相澤圭吾/2本角アテンション(作曲2023年初演)cl, sax
2.川口 孟/刻刻(作曲2023年初演)cl, sax
3.魯戴維/エル・タンゴ(作曲2023年初演)cl, sax
4.渡邊 陸/歯車(作曲2023年初演)vn, pf
【演奏】デュオ・ニュークラシカ(サクソフォン:坂口大介 クラリネット:菊地秀夫)、ROSCO(ヴァイオリン:甲斐史子 ピアノ:大須賀かおり)【審査員】福井とも子(長)、星谷丈生、山本裕之
▼第2部:日本現代音楽協会会員による小個展〜近藤浩平 左手のピアノ独奏作品
1.海辺の祈り~震災と原子炉の犠牲者への追悼 左手のピアノ版 作品121
2.海辺の雪~震災と津波の犠牲者への追悼 作品122
3.三段峡と八幡高原(安芸の山々~西中国山地)作品206