2011/04/08 毎日新聞阪神版

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東日本大震災:「被災ピアノ」祈り込め 左手のピアニスト、復興の思い一つ /兵庫

 ◇芸術文化センター
 阪神大震災を乗り越えたピアノを使った演奏会が7日、震災からの復興シンボルとして建てられた県立芸術文化センター(西宮市)で開かれた。東日本大震災の被災者は無料招待され、約300人の観客が復興への祈りを込めた音色に耳を傾けた。

 演奏会は、神経系の病気で左手だけの演奏活動をしているピアニスト、智内威雄(ちないたけお)さん(34)=大阪府箕面市=が主催。95年の阪神大震災の時、神戸市東灘区のピアノ工房で“被災”したグランドピアノとともにステージに立った。智内さんは冒頭、ミサ曲の「アベ・マリア」を弾き、会場は静かな鎮魂の祈りに包まれた。その後、バイオリニストらとともに、シュミットのピアノ五重奏などを披露した。

 街頭で募金活動をしているという大阪府交野市の小学6年、有元湧音(ゆね)君(11)は「僕も家でピアノを習っているけれど、被災した人たちは生活もままならないと思う。少しでも役に立ちたい」と話した。演奏会の収益は、震災の義援金として送られる。【矢島弓枝】

〔阪神版〕
毎日新聞 2011年4月8日 地方版