2011/04/07 毎日新聞大阪朝刊

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演奏会:左手のピアニスト智内さん、東日本大震災被災者を招待--きょう兵庫・西宮で

 ◇「復興の音色」で安らぎ
 7日午後7時から、兵庫県立芸術文化センター(同県西宮市)で開かれる左手のピアニスト智内威雄(ちないたけお)さん(34)=大阪府箕面市=の演奏会で、東日本大震災の被災者を入場無料で招待することになった。演奏されるのは阪神大震災を乗り越えたピアノ。智内さんは「被災した方々の心に、ほんのひとときでも安らぎの音色を届けたい」と話している。

 演奏会で使われるグランドピアノは、1925年製造のニューヨーク・スタインウェイで、95年の阪神大震災当時、神戸市東灘区のピアノ修理工房「日本ピアノサービス」のレッスン室にあった。震災で工房は全壊したが、ピアノは奇跡的に無事で、全国で「復興の音色」を奏でている。

 智内さんは、神経系の病気ジストニアのため右手が思い通りに動かせず、左手だけでピアノを演奏する。今回の演奏会は当初、アフガニスタンの教育支援団体に収益を寄付する予定だったが、東日本大震災の義援金にすることになった。東日本大震災の被災者は、演奏会の受け付けで申告すれば無料で入場できる。

 曲目はコルンゴルトの組曲など。一般2500円。問い合わせは、左手のアーカイブプロジェクト事務局(090・6047・3005)。【矢島弓枝】
毎日新聞 2011年4月7日 大阪朝刊