左手のピアニスト 智内威雄

2019年のご挨拶

私はこれまでも「苦難の歴史を乗り越えた芸術を、開かれた未来のために」をテーマに活動をしてきました。そして「左手のピアノ音楽の社会化」を進めるために、何が必要なのかを常に考えています。

去年の最大の目標は国際コンクールの開催であり、左手のピアノ演奏の多様性を表現する事でした。そのコンクールの流れを受けて、今年は参加者たちの指標となるようなクオリティの高い演奏録音を行うことや、彼らがより深く左手のピアノ演奏を理解するための演奏法の手引き書などをまとめたいと考えています。そのほかにもコンクールに関する開催予定のイベントがいくつかありますので、メールマガジンやFacebookなどで順次お知らせします。

本年も左手のピアノ音楽の魅力を多くの方に伝えられるよう精進いたします。応援のほどよろしくお願いいたします。また演奏会などでお会いできることを楽しみにしています。

左手のピアニスト・智内威雄(2019年1月5日)https://tchinai.com/?p=17360

公式Facebook https://www.facebook.com/pianisttchinai

2. 音楽活動について

“苦難の歴史を乗り越えた芸術を、開かれた未来のために”

 私にとって左手のピアノ楽曲は、まず新たな分野と出会った驚きであり、そして再びピアノを弾ける喜び、音楽を続けられる喜びでした。私は、音楽が持つ普遍的な芸術の力、その可能性を強く信じさせられました。

 その音楽芸術の力により、障害をもつ個人は勇気を得ることができると気づきました。このような個々の営みの蓄積が、いつか垣根のない社会の実現につながるのではないでしょうか。

 この私の願いは、歴史的な楽曲の再発見を通して養われました。数世紀にわたって書かれてきた左手のためのピアノ楽曲は、戦争などの厳しい状況下でも音楽を心の支えに生きたピアニスト達の歴史が刻まれており、そして優れた楽曲が数多く存在しています。しかしそれらの深い表現力を呼び起こす楽曲の多くは、再演される事無く、散逸した状況が続いていました。

 私は、歴史を再発見し、優れた価値が再び埋もれないようにするための努力が必要であると考えました。そして現代においては、片手のための音楽の価値を高め、人々と分かち合えるようにするための教育と普及の必要性をも感じました。

 そのために「左手のアーカイブ」プロジェクトと「ワンハンドピアノレッスン」というふたつの環境づくりの活動に取り組んでいます。

 皆様のご支援を心よりお願い申し上げます。

左手のピアニスト・智内威雄(ちないたけお)

 
  

Mission

(ミッション)
 片手によるピアノ演奏を通して、音楽の喜びを次世代に伝えます。

Vision

(ビジョン)
 未来のピアニストの礎となる演奏を発信します。そして音楽の喜びを分かち合える発展的な環境を作ります。

Value

(バリュー)
 忘れ去られてしまった音楽分野の再発見と復興が行われます。その独創的な表現により、多くの者に器楽を演奏する新たな喜びを与えられます。それらを普及させる環境作りを行うことで、より多くの者が垣根の無い音楽・楽器演奏の魅力を体験できます。

 

「左手のアーカイブ」プロジェクト(LHPM)

 
 「左手のアーカイブ」プロジェクトは、2010年、現在も左手のみによる演奏活動を続ける「左手のピアニスト」智内威雄が中心となり発足しました。
 その目的は、左手のためのピアノ作品という忘れ去られてしまった貴重な音楽作品の発掘・復興と、左手を主とする片手演奏の認知向上と普及振興にあります。
 以下の2点を主要な活動として位置づけています。

1)埋もれてしまった歴史的名曲の録音・映像の作品化
2)中級・上級者のための新曲・編曲など、委嘱作品を含む楽曲楽譜の作成


 1)において、演奏されなくなってしまった左手の楽曲を、智内威雄の演奏を中心として収録し、一般に入手しやすい形でパッケージ化します。演奏映像を定点でカメラに収めることで、片手演奏特有の指や体の使い方などの演奏法を学ぶことができるよう配慮しています。

 2)において、元来、上級者あるいは職業演奏家のために書かれた左手演奏用楽曲の世界に、様々なレベルを設定することで、より多くの演奏者がチャレンジできレベルアップしていくことができる環境を作ります。さまざまなキャリアを有する作曲者に新たな楽曲の作曲や編曲を委嘱し、現在進行形の音楽芸術としての復興を目指すとともに、作曲家と演奏家のネットワークを作ります。

 このように日々、プロジェクトメンバー間で密な連携をとりつつ地道な活動を継続している一方で、昨今は活動を支援してくださる一般の皆様との接点として、イベントの開催にも注力しています。

 現在「左手のアーカイブ」が主催するイベントとしては、「左手のアーカイブコンサート」と「ワンハンドピアノフェスタ!」の2つがあります。

 「左手のアーカイブコンサート」は、第一線で活動するピアニストによるライブ演奏を通して、左手演奏の魅力を知っていただくコンサートイベントであり、「左手のアーカイブ」の活動報告等メッセージをお伝えしつつ、支援者の皆様との交流を図る場として機能しています。

 「ワンハンドピアノフェスタ!」は、2013年より始めた、公開レッスン、発表会、講義を含む、いわゆるワークショップ形式の交流イベントです。ここでは左手のみならず、片手演奏に親しむ者同士の交流と、演奏発表の場を提供します。

 この優れた音楽分野を世に広く知らせると同時に、潜在的に相当数にのぼるといわれる右手にハンディキャップをもつ演奏家に、音楽を続けるひとつの道を示したい。智内威雄のこのような強い願いから始まった「左手のアーカイブ」プロジェクトは、さらに幅広い層の人々へ向けて、そして次の世代へとバトンを手渡すことを視野に入れた活動を展開しています。

3. Biography

Biography

 

▼ <1976-2001 東京〜ドイツ>

▼ 1976年生まれ。
7歳より東京音楽大学付属教室、東京音楽大学付属高等学校ピアノ演奏科コース、東京音楽大学ピアノ演奏科コース
大学在籍中にミラノにて研鑽を積む。在学中に小林出氏、前島園子氏、アニータポッリーニ氏、アダマウリ氏に師事。現在東京音楽大学の講師とし後進の育成にも尽力している。

▼ 1999年 11月に渡独
▼ 2000年 ドイツ・ハノーファー音楽大学に入学。E.S.ネックレベルク ( Einar Steen-Nøkleberg ) 教授に師事し研鑽を積む。
▼ 2000年 グリーグ国際コンクール入賞、マルサラ国際コンクール3位入賞。
▼ 2001年 局所性ジストニアが右手に発症し、大学を休学し付属医療機関にてアルテンミュッラー教授(Univ. Prof. Dr. med. Eckart Altenmüller)の元で治療、ベルリンにてロランブレー氏(Laurent Boullet)の元でリハビリを開始。

▼ <2002-2009 ドイツ〜大阪>

▼ 2002年 E.S.ネックレベルク教授のすすめにより、スクリャービンの前奏曲と夜想曲、バッハ・ブラームスのシャコンヌ等、左手の音楽世界と出会う。
▼ 2003年 左手のピアニストとして音楽活動を再開。左手だけで質の高い演奏を得る為に、本格的に奏法の研究を開始する。
▼ 2004年 初の左手のみのソロコンサートをドイツにて行う。
▼ 2005年 同大学の卒業試験にて、左手のみで行った室内楽で満場一致の最優秀成績を収める。
▼ 2006年 3月に広島交響楽団とラヴェルの「左手のための協奏曲」を共演し、観衆をはじめ共演指揮者、楽団員から絶賛される。
▼ 2006年 11月に盛岡で行ったコンサートをきっかけに日本でのソロ活動を本格的に開始する。
▼ 2007年 7月に関西テレビ制作のドキュメンタリー番組「心に響く命の音・左手のピアニスト・智内威雄」が放送される。
▼ 2008年 地域に根ざしたクラシック音楽活動を提唱し、兵庫・大阪を中心として朗読コンサートなどのサロンコンサートを積極的に行う。
▼ 2009年 演奏活動とともに左手楽曲の演奏資料作成、楽譜作成、演奏方法等をまとめる”左手のアーカイブ構想”に着手する。

▼ <2010- 「左手のアーカイブ」プロジェクト>

▼ 2010年 左手のためのピアノ音楽の発掘と普及を目的とした任意団体「左手のアーカイブ」プロジェクトを発足させる。映像アーカイブ事業の成果をwww.lefthandpianomusic.orgにて公開スタート。
▼ 2011年 4月兵庫芸術文化センターにてF.シュミットのピアノ五重奏の日本初演を行う。同プロジェクトの制作により2タイトルCDを頒布開始
▼ 2011年 9月「左手のアーカイブ」プロジェクトの日本語サイトを立ち上げる http://lefthandpianomusic.jp
▼ 2012年 片手演奏用の初級・中級の楽譜、計4冊を左手のアーカイブにて監修する。「左手のアーカイブコンサート」を宝塚ベガホールにて行う
▼ 2013年 片手演奏の世界初のワークショップ「ワンハンド・ピアノフェスタ!」を実施する。
▼ 2013年 左手の音楽のクオリティーの高さを示すために、両手のピアニストでありながら左手の楽曲を積極的に取り上げるゼッキーニ氏をゲストとして招聘し「左手のアーカイブコンサート」を行う。
▼ 2013年 NHK放送制作のドキュメンタリー番組、ETV特集「左手のピアニスト~もうひとつのピアノ・レッスン~」が放送される。
▼ 2014年 片手演奏の普及を促進するために、片手の演奏教育プロジェクト「ワンハンド・ピアノレッスン」を立ち上げる
▼ 2016年 国際的に片手演奏の魅力を発信するために、芸術振興事業の『「左手のアーカイブ」プロジェクト』、教育福祉事業の『ワンハンドピアノレッスン』の両部門を柱とし、『(一社)ワンハンドピアノミュージック』を立ち上げ、代表理事に就任する。著書『ピアノ、その左手の響き:歴史をつなぐピアニストの挑戦』が太郎次郎社により出版される。「第5回 神戸アート・アワード」大賞受賞。
▼ 2017年 これまでの左手のピアノ音楽の普及活動が認められ「第4回 Jasrac音楽文化賞受賞」を受賞。
▼ 2018年 世界初となる左手のピアノ国際コンクール「ウィトゲンシュタイン記念 左手のピアノ国際コンクール」のアマチュア部門とプロフェッショナル部門を大阪府箕面市で開催し、左手のピアノ音楽の社会化を進める。12月に、左手のピアノ国際コンクールに関連したドキュメンタリー番組『目撃!にっぽん「左手がつむぐ希望のメロディー」』がNHK松山により制作・放送される。
▼ 2019年 1月に左手のピアノ国際コンクールのドキュメンタリー番組「私は左手のピアニスト~希望の響き 世界初のコンクール~」がNHK-BS1スペシャルにて放送される。その他にもNHKラジオ第1、NHK大阪、NHK松山、MBSがニュースで特集を放送する。