2011/12/22 近藤浩平さん:神戸新聞にて紹介

神戸新聞:「3・11」鎮魂の曲に反響 宝塚の作曲家が創作

東日本大震災や福島第1原発事故をテーマに、宝塚市在住の作曲家近藤浩平さん(46)が、鎮魂のための現代音楽2曲を作った。譜面をホームページ(HP)で公開し、動画投稿サイトからも配信。反響が広がり、国内外で上演されるようになった。近藤さんは「世界中が(震災が起きた)3月11日を記憶に刻みつける一助になれば」と話している。(増井哲夫)

 近藤さんは、関西学院大学文学部で音楽学を学び、独学で作曲を始めた。卒業後も会社勤務の傍ら、数々のコンクールで入選している。

 今回の作曲は、ノルウェーの木管楽器ファゴット奏者ロベルト・ロネスさんから、曲の依頼を震災前に受けていたことから思い立った。東北、中でも福島県の民謡を多く聴き、リズム感や節回しを生かそうと工夫。「海辺の祈り~震災と原子炉の犠牲者への追悼 作品121」を書き上げた。

 震災1カ月後、譜面を受け取ったロネスさんは絶賛。演奏映像をインターネット上に流すと、米国やポーランドでも演奏家が上演する動きにつながった。近藤さんはバイオリンやチェロ、ビオラ向けに編曲。国内でも演奏されるようになった。

 こうした中、筋肉の病気のため左手だけで演奏する大阪府箕面市在住のピアニスト智内威雄(ちない・たけお)さんと知り合い、「左手バージョン」の譜面を送った。智内さんは「対をなす曲」をリクエスト。左手で演奏する専用曲として「海辺の雪~震災と津波の犠牲者への追悼 作品122」が生まれた。

 2曲を上演する演奏家らに「著作権使用料相当額を被災地支援に」と呼び掛ける近藤さんは「震災と原発事故を決して忘れない」との思いで、創作活動を続けている。
(2011/12/22 14:15)