2011/08/21 茨城 鹿嶋勤労文化会館大ホール

●茨城県鹿嶋市
鹿嶋勤労文化会館大ホール
8月21日 17時開演(16時半開場)

入場料:2000円、高校生以下1500円
問い合わせ:ミュージックプラン ヴィヴァーチェ(小沼)090-2450-5155

※震災や計画停電などで中止や変更になることがあります。ご確認のうえお出かけください。

<震災に関連した初演曲を含むコンサートとなります。>



演奏者の声

鹿嶋勤労文化会館に足をお運びいただき有難うございました。

初めての茨城県での演奏会となりました。このコンサートは震災前に組まれたものでして、スタッフの方々のご尽力により、苦難を乗り越え実現に結びついたコンサートでした。私にとりましても大変思い出に残る会となりました。この場をお借りして御礼申し上げます。

以前から茨城をはじめ、関東の方々から、東北の報道の影に隠れてしまい、被災した悲しみをどこにもっていけば良いのか分からなく辛い、という事を聞いていました。故郷が傷つくという事は、震度の大小など数値だけでは計りえない苦しみなのではと察します。日頃からそうした苦労をされている方々を、日本中が忘れてはいけない事だとも感じます。

クラシック音楽の楽曲にとり、初演をする場所とは、とても重要な意味を持つのですが、今回は鹿嶋でのコンサートという事もあり、震災に関連した2曲を初演させて頂きました。(黒澤健さんと、近藤浩平さんの作品)

この曲達を演奏する度に、鹿嶋のこの演奏会を思い出す事となります。

また皆様のもとに演奏を通して戻って来られる日が来るよう精進して参ります。

智内威雄(2011年8月21日)


会場の声(アンケート掲載)

●”左手だけ”の音楽とはとても思えなかった。映像が音と共に降りてくるような素晴らしい演奏でした。ピアノ自体の演奏の「可能性」を感じさせてくれる一つの「夢」の時間でした。是非また智内さんの演奏を聴きたいです。30代男性

●左手だけとか、両手でとか全く意識の中からは消し去られて、ただただ純粋に音の響きに引き込まれて、音楽の調べに身を委ねて久しぶりにリラックスしている自分に気付きました。私たちは普段「これに関してはこのやり方で、この方法で!」とか「その場合、こうあるべき、~であらねばならない」とか知らず知らずのうちに自分を様々な制約で縛ってそのことに何の疑問に感じずに生きていますが、智内さんの演奏を聴いて、ふとそのたがを外して、あるいは少し枠から外に出て物事を見てみると、もっと伸び伸びと自然体に美しいものをもっと自由な心で真に感じることができるようになるのではないか・・・と感じさせられました。人間は気付かないうちにいろんなものにがんじがらめになって息苦しくなることが多いけれど、智内さんの演奏を通して「大丈夫、肩の力を抜いて、ゆっくり深呼吸して自分らしいリズムで歩いていいんだよ」と言ってもらったような気がしました。「海辺の祈り」「海辺の雪」・・・3/11のあの日、東北の津波に呑み込まれていく、故郷を声もなく歯を喰いしばって丘の上から涙を静かに流しつつ見守り、立ち尽くしていた人々の姿を思い出しました。私の親族も福島出身で新潟に避難していますが、今、改めて静かに被災された方々の心に寄り添い祈りを捧げたいと思います。ありがとうございました。40代女性

●今日は素晴らしい演奏をありがとうございました。千葉県から来ました。私も小2~高1までピアノを習っていて、弾けそうな曲もあったので、嬉しかったです。目を閉じて聞いていると、左手だけとは思えない演奏にびっくりしたり感動したり・・・。私も人生いろいろあり辛かった時にテレビで智内さんの事を知り、ホームページなどを見てから、自分にできることをまずはやってみようと思うようになりました。これからもがんばって下さい。私もがんばります!今日は本当にありがとうございました。40代女性

●片手でも素晴らしい演奏ができることがよく分かりました。右手の分もより多くの鍵盤を弾かなくてはならないので、普通のピアニストの方より大変ではないのかなあと思います。震災から5ヶ月が過ぎ、道路や公共施設も修復されておらず余震も続く中で不安も多いですが、励まされました。ありがとうございました。これからも頑張って下さい。応援しています。40代女性

●とてもきれいなきょくばかりで、両手じゃなくて片手でもじょうずにでき、こんなの、はじめて目にしました。左手のピアニストというからどんなかなぁーと思っていました。私が大好きなきょくばかりで、とてもいいきょくがきけたのでよかったです。またこんなきかいがあったらなあと思っています。わたしも、ちょっと左手でこんなきれいなきょくをひいてみたいです。このひがし日本大しんさいでうちはひがいがなかったですけど、ともだちのうちは、ひがいがとてもあったみたいです。このじしんでひがいをしたり、つなみにあったりして、なくなった人がいる中で、このチャリティーコンサートをひらいてくれ、元気になった人がきっといると思います。こんど、できたらまた、コンサートをひらいてもらいたいです。8歳女の子

●大阪から嫁に来て30年。こちらの地でのコンサートなどの少なさに淋しく思っております。今日は友人に誘われて参りました。とても心豊かになりました。曲を聞きながらイメージを拡げ、また想いを深める事が出来ました。左手の楽曲の素晴らしさ、智内さんの人柄、努力なさったのだろうなーとの思い、さまざまに感じ、とても心に残る2時間でした。ありがとうございます。感謝。50代女性

●姉に誘われて初めてピアノコンサートに来ました。クラシックコンサートが私に理解できるのか不安でしたが、楽しむことができました。初めてのクラシックコンサートが智内さんでラッキーでした。ありがとうございます。これからも頑張って下さい。30代女性

●左手だけですごかったです。じょうずでした!!ピアノ大好き!!8歳女の子

●久しぶりにピアノのコンサートを聞きました。左手だけの演奏、とても素晴らしかったです。心が癒されました。震災以降、追われるように時を過ごしてきましたが、今夜はゆったりとした至福の時間を過ごせたような気がします。これからもお身体を大切になさって、ますますご活躍なされることを祈っております。50代女性

●力強い演奏で心が弾むように感じました。とても印象的な思いがしています。これからの生活の励みになると感じました。60代

●素敵な演奏を聴かせて頂きありがとうございました。以前、東京にて聴かせていただいており、私の出身地である鹿嶋でも演奏をして下さることを知り、本日は来訪させていただきました。2度目の拝聴になりますが、力強く、美しい音色にはいつも感動致します。今后のご活躍にご期待申し上げております。30代女性

●ありがとうございました。現在東京在中ですが、茨城出身です。都内と違いゆったりとリラックスして聴かせて頂きました。毎回シューベルトのAvemaria涙が出てしまいます。スクリャービン本当に本当に大好きです。11月(3日間)の東京での講座を楽しみにしています。40代女性

●笑顔がステキで演奏は爽やか。ピアノの新しい世界が聴けて楽しかったです。音もとても綺麗。迫力もあり優しさも感じました。40代女性

●大変素晴らしい演奏を有難うございました。とても片手で弾いているとは思えない演奏で感銘しました。楽しいトークを交えての演奏で大変楽しむことができ、もう少し聴いていたい、そんな気持ちになりました。幸せな時間を有難うございました。30代女性

●初めて片腕の演奏を聞きました。左手でどうやって?と思っていましたが、目を閉じるとまるで両手で弾いているようでした。小学校3年の娘と来ましたが、初めて最後まで寝ないで聞いていました。親子共々感激致しました。ありがとうございました。これからも素晴らしい演奏を聞かせて下さい。

●智内さん、本日は本当にありがとうございました。素晴らしい演奏でこの鹿嶋の地で多くの方々をはげまして下さいました。心に響く、心の祈りを一人一人の方が感じて下さったように思われます。この思いを更に広めたていきたく思います。智内さん、これからも私達にすばらしい演奏をお聞かせ下さい。ありがとうございました。沢山の曲をありがとうございました。”智内さんに栄あれ”60代女性

●久しぶりのコンサート、とても楽しかったです。ピアノの音色に心が温かくなりました。私も音楽に関わる仕事をしております。人の心に響く音楽を聴くことができ感動しています。これから今日の事を忘れず、自分も少しでも人に感動を伝えられるような仕事をしていきたいと思っています。ありがとうございました。30代女性

●智内さんのことは報道で知ってはおりました。まさか、生で演奏が聞けるとは思ってもいなかったので、感激です。聞いてみて、本当にすばらしく、ぞくぞくする思いが致しました。左手だけでこんなに素晴らしく人を感動させることができるのですね。両手でひいているのと変わらない気がしました。どうか、これからも、いい曲を沢山ひいて、人々に感動を与えて下さいますように。70代

●大変すばらしい演奏をありがとうございました。要望を言えば日本歌曲なども入れていただいたら幸いです。ポピュラー音楽もよろしく。70代

●今日は鹿嶋まで来て下さり、ほんとうに有難うございました。素晴らしい音色と智内さんの笑顔とユーモアのある語りを楽しませていただきました。右手が使えなくてもこんなにすばらしいと感動しました。一つのことが不可能でも他の分野で努力し、あきらめない大切さを教えていただきました。これからも頑張って多くの人々を励まして下さい。60代女性

●祈り!「ああ、神様なぜ私達人間を苦しめるのですか。」「それはね、他人のいたみが分かるためにそうするんだよ。」演奏中ずっとこの言葉を思っていました。ありがとうございました。70代男性

●素晴らしい演奏をありがとうございました。僕はクラシックやピアノについて詳しくはないのですが、智内さんの演奏が心にしみわたりました。智内さんの演奏に出会えたことで自分ももっと人々の心を動かすことができるような人物になりたいと思いました。これからのご活躍を応援しています!20代男性


●2011年8月22日(月)読売新聞朝刊(茨城版):演奏会後記掲載 >>

左手のピアニスト智内威雄(ちないたけお)さん(35)の東日本大震災復興チャリティーコンサートが21日、鹿嶋市宮中の鹿嶋勤労文化会館で開かれ、苦難を乗り越えた智内さんの美しい演奏が被災地の人たちの心に響いた。

 鹿嶋市内でピアノ教室を主宰する小沼万波さんが昨年末、東京音大の後輩である智内さんの活躍を知り、演奏会を依頼。被災を受け、智内さんの希望でチャリティーコンサートとして開催することになった。

 ほぼ満席の約700人の聴衆を前に、智内さんは難病ジストニアに冒された右手を膝の上に置き、左手で演奏。1曲ごとに曲の解説をするトークライブ形式で、左手で演奏するように編曲されたバッハの平均律第一巻第一番プレリュードやシューベルトの魔王、アヴェ・マリアなどを披露した。震災をテーマにした「海辺の祈り」「海辺の雪」(近藤浩平作曲)もあり、聴衆の中には涙ぐむ人もいた。

 神栖市から来た作沼すい子さん(60)は「片手とは思えないすばらしい演奏。苦難を乗り越えた努力や精神力に心を打たれた」と話していた。

(2011年8月22日 読売新聞)

●2011年8月18日(木)読売新聞朝刊(茨城版):演奏会告知記掲載

希望奏でる左手のピアニスト

 右手を脚の上に置いたまま、左手だけで鍵盤を弾ませ旋律を奏でるピアニストがいる。10年前、留学先のドイツで右手が硬直する病を発症したが、その絶望から立ち上がり、今は関西を拠点に演奏活動を続けている。その音色が、21日、鹿嶋市宮中の鹿嶋勤労文化会館で震災からの復興を目指す被災者の心に届けられる。

左手のピアニストは、大阪府箕面市の智内威雄(ちないたけお)さん(34)。埼玉県蕨市出身で、幼少期からピアノの英才教育を受け、東京音楽大卒業後、ドイツのハノーバー音楽大に留学。数々の国際コンクールで入賞した。

 留学2年目の2001年、智内さんは右手に違和感を覚えた。親指が自由に動かせなくなり、やがて右手の全ての指が内側に丸まった。「ジストニア」と診断された。脳神経の機能異常と考えられ、腕や首、顔などの筋肉が意思とは無関係に硬直する。完治は望みにくい。

 「すっからかんになった。自分の中の芯がなくなった」。ピアノを弾けない喪失感にあえぎ、もう一度、両手で弾けるようになりたいともがいた。その一方で「頑張れば頑張るほど、元の場所にはたどり着けない」と空回りを自覚してもいた。

 2年以上のリハビリ。そんな時に出会ったのが左手だけで弾くピアノ曲の楽譜だ。「片手で弾く曲なんて」。高をくくっていたが、いざ弾いてみると、「楽曲を表現するに至らず、その奥深さに打ち負かされた」。

 その後、負傷や先天性の障害、ジストニアなど、片手のピアニストに用意された曲が多くあることを知った。「障害があってできないことを数えるより、やれることが無数にある」。

 帰国後、阪神大震災のメモリアルコンサートを開いたのを機に関西に拠点を置いた。被災に心を痛め、復興に気をもむ被災者を気遣い、東日本大震災の被災地でもコンサートを精力的に開く計画だ。「何も考えず、音に身を委ね、左手の魅力をゆっくり感じてほしい」。被災地では安らぎのメロディーを奏でたいという。

 シューベルトの「魔王」、ショパンの「別れの曲」などに加え、震災をテーマにした3曲を披露する。午後4時30分開場、5時開演。入場料2000円(高校生以下1500円)。チケット、問い合わせは鹿嶋勤労文化会館((電)0299・83・5911)へ。

(2011年8月18日 読売新聞)